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MARKETING

変化し続ける購買行動と今後のSNSマーケティングの見通し

まずはじめに、皆さんは「購買行動モデル」という言葉を聞いたことがありますか?
「購買行動モデル」とは、商品やサービスを購入するまでの心理的・行動的変化をモデル化したもので、これは時代とともに大きく変化し、今日では双方向的コミュニケーションなしにはモノが売れにくい時代になったとも言われています。 この記事では、購買行動モデルの初期から最新版まで説明するとともに、今日におけるSNSユーザーの動向から今後のSNS活用における重要なポイントまでをお伝えしていきます

購買行動モデルの変化

1.AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)は、1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏により提唱され、マスメディア時代の代表的な購買行動モデルとして認知されています。消費者の認知から購入に至るプロセスを段階的に分けて評価し、マーケティング施策の改善に活かせるものとして長期間活用されており、セールスの基礎とも言えるでしょう。

AIDMA(アイドマ)は、

  • Attention(認知)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

という5つのステップで、構成されています。

ferret「AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)の違いを解説」参考

2.AISAS(アイサス)
次にAISAS(アイサス)です。AISASは、2005年に電通が提唱したモデルのことで、インターネット普及後の代表的な購買行動モデルとして認知されています。スマートフォンの普及に伴い、消費者は今まで一方的に情報を得ていた状態から、興味を持った商品に対して自ら検索し、さらには購買後に自身の体験談を発信することもできるようになりました。

AISAS(アイサス)は、

  • Attention(認知)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

という5つのステップで、構成されています。

ferret「AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)の違いを解説」参考

3.ULSSAS(ウルサス)
最後にULSSAS(ウルサス)です。ULSSASはホットリンク社が提唱したモデルで、現代社会における購買行動の最新モデルとして確立されました。SNSの普及によって誰もがSNSを当たり前に使い、気軽に情報発信ができる時代になり、ユーザーは以前にも増してSNSに口コミやレビューなどを積極的に投稿するようになりました。この「ユーザー作成コンテンツ」(以下、「UGC」)をマーケティング戦略に活用するための考え方が、ULSSASです。

ULSSAS(ウルサス)は、

  • U(UGC)
  • L(Like)
  • S(Serach1:SNS検索)
  • S(Serach2:Google/Yahoo!検索)
  • A(Action)
  • S(Spread)

という5つのステップで、構成されています。

補足:UGCについて
UGCとは、企業ではなく一般ユーザーによって生成されたコンテンツのことを指します。InstagramやYouTubeなどSNSに投稿された写真や動画、またECサイトにおけるレビューなど「生活者のリアルな声」であり、現在では商品を購入検討する際に多くの人が参考にしている貴重な情報源となっています。

<SNSユーザーの動向から考える
今後のSNS活用における重要ポイント>

1.ULSSASにおける重要な要素とは
ULSSASモデルに最も重要な要素は、「UGC」です。UGCの特徴として「商品やサービスの使用イメージを伝えやすいこと」や「親近感があること」、また「友人や知り合いが発信しており、客観性のある情報として信頼感があること」などが挙げられます。つまり、消費者に寄り添った情報となっているのです。実際に、UGCマーケティングプラットフォームのYOTPOの調査によると「77%の人がプロによって撮影された写真より、ユーザーによって撮影された写真を見たい」と回答し、さらに「50%以上の人が購入前にUGCを閲覧した」と回答しました。

2.SNS別に見るUGCがもたらす効果

  • Instagram
    世界で毎月10億人が利用すると言われているInstagramにおいて、アライドアーキテクツ社が2020年に実施したアンケートによると、約60%が「Instagramをきっかけに新規ECサイトでの購入経験がある」と回答し、そのうち約32%が「友人やフォローしている一般ユーザーの口コミ投稿を参考にした」と回答しました。
    また50%以上が「SNSをきっかけに実店舗への訪問」をしており、そのうち50%以上が「友人やフォローしている一般ユーザーの口コミ投稿を参考にした」と答えました。
    さらに全体の57%が「購入した商品・サービス等の感想をSNSに載せた経験がある」と回答し、そのうちの約55%が「良い点をより多くの人に知ってもらいたいから載せている」と回答しました。
    投稿するジャンルとしては、食品・飲料が60%超で、ファッションや美容関連品、飲食店・宿泊施設など画像・動画で魅力を伝えやすいコンテンツが多いという結果となりました。
    (ホットリンク社「Instagram消費者調査結果」より)
  • Twitter
    Twitterに関しても、Instagramと同様の結果となりました。
    前述した内容と同様のアンケートによると、約55%が「Twitterをきっかけに新規ECサイトでの購入経験がある」と回答し、そのうちの30%が「友人やフォローしている一般ユーザーの口コミ投稿を参考にした」と回答しました。
    また、全体の約54%が「購入した商品・サービス等の感想をSNSに載せた経験がある」とし、そのうちの約50%が「良い点をより多くの人に知ってもらいたいから載せている」と回答しました。
    購買経験のあるジャンルとしては、食品・菓子が40%超で、化粧品や飲料のほかに生活用品や書籍など文面で感想を伝えやすいコンテンツが多く見られました。
    (アライドアーキテクツ社「ライフスタイルに関する調査」より)
  • その他
    そのほかYouTube、LINE、FacebookでもSNSをきっかけに商品やサービスを購入したことがある人は50%以上という結果となりました。
    またUGC投稿についても、キャンペーンやクーポン目的に限らず、自身が購入体験したものに対するメリットや感想を伝えるために投稿しているユーザーが多くいることがわかりました。
    これまでの“企業からの情報を受け取る「受動的」な購買行動”から、SNSにより“企業とユーザーが発信し合う「能動的」な購買行動”へと、劇的な変貌を遂げてきたと言えます。

3.UGCを生み出すためのポイントと施策例
「UGC」を生み出そうとやみくもに施策を打っても、あまり効果は得られません。しっかりとポイントを押さえた上で、「UGCマーケティング」に取り組むことが成功の秘訣です。

ポイント①:効果的なハッシュタグを考案する
InstagramやTwitterをはじめ、SNSでは検索からそれをヒットさせるためには効果的なハッシュタグをつける必要があります。そこで意識すべきポイントが以下の4点です。

  • 自社商品・ブランドとマッチするか
    自社商品に似たブランドから着想を得ることや、関連ワードを調べながら絞っていくことでブランドとのイメージに合ったハッシュタグを付けることができます。
  • ハッシュタグの意味を瞬時に理解できるか
    ハッシュタグを見ても、ユーザーが理解できなければ拡散される可能性は低くなります。したがって、そのハッシュタグが何を意味するのか・何を訴求しているのか ユーザーにとっても分かりやすいものを選定する必要があります。
  • ユーザーの心理的ハードルを下げられるか
    ユーザーが「自分の投稿につけてみたい」と思ってはじめて、ハッシュタグの投稿件数は増えていきます。『#〇〇のある暮らし』や『#〇〇の思い出』など、普段の投稿に自然に添えることのできるハッシュタグを提案することが大切です。
  • 投稿件数のボリュームは適切か
    これはジャンルやアカウントにもよるので分析が必要になりますが、投稿件数が多すぎるとにヒットしにくく、反対に少なすぎるとそもそもリーチする確率が低くなってしまいます。そのため数千〜数十万程度の過不足のないハッシュタグをつけることも大切なポイントになります!

ポイント②:参加者が楽しめる企画を考案する
ただハッシュタグを考案するだけではUGCは生まれません。参加するユーザー自身が楽しめる内容や、有益な情報を交えた企画を考える必要があります。過去に投稿したものや他社の施策を参考に、参加者の投稿を見た友人・知人から反応がもらいやすい企画を考案することも意識すべきポイントです。

最後に、上記のポイントを活かした3つの施策を、弊社で実施した施策事例を交えながらご紹介します。

ハッシュタグキャンペーン
特定のハッシュタグをつけた投稿を呼びかけるキャンペーンは取り組みやすく効果的です。キャンペーンは拡散力が大きく、短期間でUGCの生成を見込むことが出来ます。実施する際には、指定するハッシュタグは2~3個に絞り、応募条件を明記してキャンペーンを円滑に進められるように工夫すると効果的です。

既存フォロワーとのコミュニケーション
顧客接点を持つことで着実にコアなファンを増やし、UGCに繋がることもあります。フォロワーが投稿してくれたらそれを自社の公式SNSアカウントでも紹介する、あるいはハッシュタグをつけたり公式アカウントのメンションをしてくれたユーザーの中から、毎月何名にプレゼントなどの企画で投稿意欲をさらに掻き立てるのもUGCの促進に繋がるのでおすすめです。

インフルエンサーPR
自社商品やサービスにマッチするインフルエンサーを起用し、PR投稿してもらうことも効果的です。企業側から一方的に情報提供する時代ではなくなった今、求められている情報は「生」の情報です。
つまり嘘偽りなく、インフルエンサー自身の言葉で語られた信頼かつ説得力のある投稿であることがユーザーのニーズを捉えた重要な情報となります。

さいごに・・・

多種多様なSNSが存在し、「自社の商品をどのSNSでアピールすればいいのかわからない」というお悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?
今後、インフルエンサー活用や自社アカウントを育成していきたいと考えている方には、ぜひUGCを活用したマーケティングをすることで商品・サービスの認知や売上の拡大に繋げていただきたいと考えています。
自社の商品が「画像・動画映えする」のであればInstagram、「文面で最大限の魅力を伝えられる」のであればTwitterなど特徴をしっかりと押さえた上で、SNSの選定をしていく必要があります。
その上で、UGCをどのように生み出すのかを考え、さらに継続実施することでSNSを活用したマーケティングの成功に繋がるのでないでしょうか。